「鉄腕」 は錆びず!
あー、実際に投げているところを見たかった!
シーズン42勝という絶対に破られることの無い記録を打ち立てた、往年の名投手、西鉄ライオンズの稲尾さんが亡くなられた。
そう、「神様、仏様、稲尾様」 の稲尾さんだ。
野球少年だった(あの頃はみんなそうだったなあ・・・)子供の頃、意味も判らず、ただ、その文句のみを口にしていたなあ。
学校の図書室で 「鉄腕稲尾物語」 の本を借りて読んで、彼になりきって塀を相手にピッチングしたりした。
毎日のように、遠征までしてやっていた <めんこ>。
大相撲・仮面ライダー・ウルトラマン、そして一番人気の野球選手のプロフィール付きめんこ。
あの当時、スーパースターの王・長嶋選手のカードの1番人気はもちろんだが、「鉄腕」 のカードも無敵で人気があった。
バッタバッタと相手めんこを裏返す力強さは、まさに、「鉄腕」 が乗り移ったみたいだった。
改めて、生涯成績を見てみると、ただただ凄いの1語!
高校卒業したてのルーキーイヤーに21勝。 もはや20勝投手も難しい現在では奇跡に近い。
8年間で234勝! 名球会越えだ! あの、松坂でも西武の8年間で108勝なのだ。
そして、シーズン42勝!!! ビックリマーク幾つ付けても足りないや。 この年の登板試合数78試合、404イニング。あの阪神の藤川でも100イニングくらいだ。
そして、日本シリーズ、3連敗からの4連投4連勝。 あ~ 「神様、仏様、稲尾様~!」 わかるその気持ち
ビデオで投球ホームを見ていて不思議に思っていた、体が見た目より軽そうだ、と。
謎が解けた。 足の裏を全て地面に付けずに、爪先立つようなフォームで投げていたんだ。 信じられない!
豪腕ばかりが喧伝されているが、現在の一般的な投球術である 「逆算のピッチング (相手打者を打ち取る球からさかのぼって配球を組み立てる)」 を編み出したのも、日本シリーズで長嶋さんとの対決時の彼なのだ。 頭脳的でもある。
太く短い選手生活。
当時の三原脩監督が彼の酷使についてこう語ったそうだ。
「花は咲きどき咲かせどき」と。
信頼と信用と男気。美しい言葉だ!
素晴らしい大輪の花を咲かせた 「鉄腕」
あまりに早い散りどきだ。
ご冥福をお祈りします。
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